睡眠医学の本のまとめ
modeは[wake][NREM][REM]の3つにわかれる
OSASについて聞く
90%はOSASである。
夜の症状:いびき、無呼吸、中途覚醒、喉渇き、早朝覚醒、起床時熟眠感
昼の症状:眠気、いらいら、集中力低下、判断力低下、カフェイン摂取の有無
服用薬について聞く
SSRI→RLS、RBD(REM sleep behavior disorder)
病歴聴取は非常に重要
- 特に仕事のことで話せない人もいる
- 精神科の病歴と同様の扱いが必要
PSG polysomnography
- 睡眠を観察するための最低限のパラメータ
- 他分野との組み合わせでの発展も考えられる。例えば消化器内科なら・・
pHセンサー記録をPSHと同時に記録した結果の解析
成人のOSAS
- よく引用される疫学調査はWisconsin Sleep Cohort Study
OSASの有病率(AHI 5以上で診断) 30-60歳で女性 9%, 男性24%
眠気があるという条件なら女性2%, 男性4%
AHI: apnea hypopnea index 無呼吸低呼吸指数 1hの無呼吸・低呼吸の回数。
低呼吸の定義がはっきりしない、簡易検査だと低めにでる、若い/やせで低め、
・AHI 30以上で18年の追跡調査の結果、全ての死亡 HR 3.8, 心血管系 5.2
・AI(無呼吸だけ)20以上の場合、5生87%, 8生 63%(Chest 1988 94:9-14)
・OSASでは上気道を評価する必要がある
Modified Mallampati分類
返答の大きさを評価
咬合の分類
鼻甲介、中隔の評価
治療
・日本ではAHIによって保険適応が決まる
AHI20以上でCPAP, 5-19ならOA(oral appliance)
・米国では5-14で軽症、15-29で中等症, 30-重症
・CPAPで上気道狭窄・閉塞を改善できるCPAP圧は必ず存在するのでタイトレーション検査(最適な圧を探す睡眠検査)などでその圧を探す。圧が高くなればなるほど気道は拡がるが副作用も増える。OSASが改善するレベルのCPAP圧でマスクの密閉が保てて快適に眠れるかどうかは別問題。
Parasomnia(睡眠中の異常行動)
①REM睡眠中におきるもの ②NREM睡眠中におきるもの に分類される。
・原則として単純な行動であることが特徴
・泥酔と同じ状態。皮質を使わなくてもすむ行動。
- 睡眠と覚醒の中間の現象。
Parasomniaが起きる条件
1)正常な睡眠を維持できない。
例:ストレス、騒音、アルコール、薬剤、OSAS
2)覚醒システムの一部だけが働いた状態が一定時間続く。
- 小児でおきる②は錯乱性覚醒、睡眠時遊行症、夜驚。
小児は覚醒しにくいから条件2)にあてはまる
- 高齢者によく生じるのはREM sleep behabior disorder(RBD)で①である
DLBやparkinsonとの関連の報告されており、おそらく神経変性疾患の一種
条件1)にあてはまる
RBD
正常では「安全に夢を見るために」運動神経経路が橋延髄部分でスイッチがoffとなるが、皮質が覚醒すると金縛りに感じる。このスイッチが神経変性疾患や他の原因で故障するのがRBD。夢の内容を実際に行動してしまう。夢の内容は不穏なもの(戦う、逃げる、もがく)などが多い。問題となるのは、本人やそばにいる人がけがをすること。クロナゼパムなどで治療
・罹患率 0.16-0.18%(日本)、0.05%(アメリカ)
- [state control異常] ①睡眠発作 or 日中の過剰眠気 ⑤睡眠分断が
- [REM睡眠の異常] ②カタプレキシー ③入眠時幻覚 ④睡眠麻痺
- オレキシン、ハイポクレチンの欠乏による
- 覚醒すべき時間に睡眠がまじり、睡眠に覚醒がまじる
- 高齢でカタプレキシーを契機に発見されることがある
- 診断にはPSGとMSLT(睡眠潜時反復測定検査)をする必要がある。
平均睡眠潜時(昼寝の際の入眠の早さ) 8分以下となると「めっちゃ眠い」。
ここでREM睡眠が5回中2回以上でると診断がつく。
昼寝でREM睡眠が出ることはとてもおかしな現象。普通は入眠直後はNERM睡眠に入り、その後90分たってからREM睡眠に移行する。ナルコレプシーの入眠時幻覚とは入眠後すぐにREM睡眠が生じることであり、カタプレキシーとは覚醒時にREM睡眠が生じることと理解できる。
MSLTできない時, 髄液中オレキシン・ハイポクレチン低下を測定することも
(オレキシンとハイポクレチンは同じ物質だが、日本と米国で別々に発見されたため2つの名前をもつ)
- REM睡眠を抑制する薬剤は?
オレキシンはまだ製剤化されていない。SSRI, SNRIを用いる。日本ではクロミプラミン(アナフラニール, TCA)に保険適応がある。
・眠気を妨害するにはメチルフェニデート(リタリン)、モダフィニル
Restless legs syndrome(下肢静止不能症候群)/Willis-Ekbom病
(RLS/WED)
・脚を動かしたい衝動があり脚の不快・気持ち悪い感覚あり、以下の症状あり
- 横になったり、座ったりといった休息や活動していないときに症状がでてくる、もしくは悪化する
- 歩いたりストレッチしたりといった動きによって、少なくとも動かしている間は部分的、もしくは完全に症状がなくなってしまう
- 夕方から夜にかけてのみおこるか、その時期に一番悪化する
・症状は日内変動する。
- Dopamine作動薬が効く(dopamineが欠乏している訳ではない)
- 症状開始時間が服薬する時間より早くなるaugmentationという副作用あり
- SIT(suggested immobility test):どれだけじっとできるかを調べる
- 尿毒症、貧血などで二次性におこることもある
- 中枢神経系(線条体や黒質)でフェリチン・鉄が低下。
不眠
以下の3つのプロセスが働き睡眠をコントロール
Process C (circadian rhythm)
光とそれを感知するシステムでコントロールされる。光に加えて深部体温も関係。光が眼に入り、松果体に伝達されるとメラトニン分泌が抑制される。暗くなるとメラトニンが分泌される。
Process S (homeostatic drive, sleep drive)
起きている間、アデノシンが脳に蓄積。その蓄積された量に比例して眠気が出る。カフェインはアデノシン受容体に拮抗してアデノシンがたまっている状態を一時的に感じなくさせる。
Arousal
眠気の力より強い。
・不眠は「chronic insomnia disorder」と「short-term insomnia disorder」の
2種類になった
・不眠は覚醒と睡眠というOSの切り替えの故障である。
不眠時処方の禁忌
- 呼吸抑制を来すもの
- deliriumをおこすもの
基本的に高齢者にはBZ類を不眠時処方しない
意識障害の局在診断は?
脳幹網様体賦活系(reticular activating system:RAS)と大脳皮質
意識の要素
覚醒arousal(RAS)と内容content(大脳皮質 認知機能のこと)
認知機能とはアプリのようなもの
意識障害の原因
①覚醒に問題あり=覚醒機能不全
RAS, AAS(上行性覚醒系)に問題(RASはAASに含まれる)
②認知機能に問題(局所的問題)
③1.2両方
・覚醒しているから正常な脳機能とは限らない。正常とは「覚醒するべきときに覚醒し、眠るべきときに眠る」ことである
医師の睡眠不足
- 睡眠不足への耐性は遺伝的要素があり、個人差がある
- SWS(slow wave sleep)は20歳より若い世代で多い
- 慢性睡眠不足による眠気は4日目からplateauに達する(能力低下はplateauに達せず進行)
・当直とは慢性の睡眠不足に急性の睡眠不足が加わる
小児の睡眠医学
- 成長ホルモンは徐波睡眠(深睡眠、N3, RK stage3 or 4)と呼ばれる睡眠の前半で生じる睡眠ステージで分泌される
- 睡眠をとらないと、成長ホルモンの分泌は抑制される
- 睡眠関連疾患があって睡眠質低下していると成長阻害の化膿性あり
- 年齢によって十分な睡眠には違いがある
・睡眠時間と絶望感・自殺念慮・自殺企図は相関する。
・10代では睡眠時間8-10時間が推奨されている(National sleep foundation)。
これ以外の睡眠時間では、成長・発達に問題が生じ、自殺の危険性が高まる
- 10代前半は概日リズムによる就寝時間早く眠気が就寝時に強く生じるため
夜更かしできない。午前中に居眠りするのは異常。
- 10代後半になると夜更かしできるようになり、午前中に居眠りする
午後に居眠りするのは、かなりの睡眠不足 or 睡眠関連疾患。
・小児のOSASの治療は成人とはかなり異なる
扁桃切除・アデノイド切除・急速上顎拡大術
概日リズムと睡眠覚醒リズム障害
- 概日リズムとは「人間の行動」が1日の周期で繰り返されること。
- SCN(suprachiasmatic nucleus)に中枢体内時計がある
この時計は[転写調整因子による転写促進と転写翻訳差物によるnegative feedbackを使ったループ]である。